ネット上で定期的に再燃する予言説の象徴的な存在が、漫画家・たつき諒氏の作品『私が見た未来』を巡る言説だ。1990年代に発表された同作の表紙やメモに描かれた記述が、過去の大震災を言い当てたとして一躍脚光を浴びた。以来、作中の「予知夢」の解釈や未公開とされる情報がネット上でひとり歩きし、新しい災害の期日として勝手に日付が上書きされ続けている。
こうした現象は、単なる都市伝説・オカルトの領域を超え、実生活に微細な混乱を及ぼすフェーズに入った。かつてはサブカルチャーの枠組みで楽しむ怪談に過ぎなかったものが、SNSという増幅器を通じることで、大衆の行動を左右する情報へと変貌を遂げた。しかし、噂される日付の多くは後知恵によるこじつけや牽強附会に過ぎず、冷静な客観視が必要不可欠だ。