なぜこれほどの事故を未然に防ぐことができなかったのか。当時、TBSテレビ内部で機能していなかった番組安全管理のガバナンス欠如に対し、世間からは猛烈な批判が浴びせられた。視聴者の目を惹きつけるド派手な演出やスリルばかりが優先され、衝撃を吸収するクッション材の配置や事前の強度計算、救急医療体制の整備が二の次になっていたことが判明したためだ。
当時のテレビ放送業界全体に蔓延していた「過激な演出こそが正義」という空気感も、事故の背景に大きく影響している。限界を超えさせる演出が美化される一方で、万が一の事態に対するリスクマネジメントは極めて形骸化していた。演出の刺激と安全対策のバランスが完全に崩壊していたと言わざるを得ない。