進行性核上麻痺(PSP)の最大の特徴は、パーキンソン病と見分けがつきにくい仮面を被って発症することです。一般に発症年齢は60代以降の中高年層に集中し、初期には「動作が緩慢になる」「歩き方が小刻みになる」「表情が硬くなる」といったパーキンソニズムが現れます。そのため、初期段階では約半数以上の患者がパーキンソン病と仮診断されるケースが後を絶ちません。
しかし、決定的な違いは症状の進行スピードと転倒の現れ方にあります。パーキンソン病では発症から数年間は転倒することが比較的稀であるのに対し、進行性核上麻痺では発症から1年以内という極めて早い段階でバランスを崩し、まるで丸太が倒れるかのように後方へバタンと倒れ込む転倒が頻発します。
ネット検索で多くの家族が震撼する「余命の真実」について、客観的な臨床データを直視する必要があります。難病情報センター等の公的データおよび追跡研究によると、発症からの平均生存期間はおよそ7年から9年と報告されています。ただし、この数字はあくまで統計上の平均値に過ぎません。直接の死因となるのは脳神経細胞の脱落そのものではなく、嚥下障害に伴う「誤嚥性肺炎」や「窒息」、そして激しい転倒による「頭部外傷・骨折」からの寝たきり状態です。早期に診断を受け、胃瘻(いろう)を含めた適切な栄養管理や転倒予防策を講じることで、10年以上の療養生活を穏やかに維持している例も現場では珍しくありません。