オーナーシェフが生み出す生菓子の最大の特徴は、アルコールやスパイス、ハーブを緻密に計算し尽くした「香りのレイヤード(層)」にある。コニャック、カルヴァドス、ブランデー、ラム酒といった芳醇な洋酒を、素材の引き立て役として惜しみなく使用。一見するとクラシックなフレンチスタイルの洋菓子でありながら、その味わいは極めてモダンで洗練されている。
例えばミントやローズマリー、あるいはローズの香気を閉じ込めたジュレやクリームは、果実の酸味と打ち消し合うことなく、口の中で徐々に開花していく。甘さを楽しむのではなく「香りを味わう」ための構造が、一口ごとに異なる表情を見せる。これが、一度食べた者を虜にして離さない理由だ。