館内を巡って真っ先に目を奪われるのは、Sakura館とKaede館の双方で大胆に敢行されたフロア構成のアップデートだ。国内外のフラッグシップブランドが並ぶメインストリートには、伝統工芸と現代カルチャーをクロスオーバーさせた京都限定のコンセプトショップが軒を連ねる。単に土産物を並べる旧来の手法を捨て、職人の実演や限定ワークショップが日常的に催される空間設計が光る。
この変革の背景には、イオングループのトップである吉田昭夫氏らが掲げる「地域起点での付加価値共創」がある。従来の標準化されたショッピングセンターから脱却し、その土地特有の文脈を深く掘り下げる商業施設開発事業の真骨頂がここにある。観光客は京都の粋を体感でき、地元住民は日常の質を高める洗練されたプロダクトに出会える。境界線を軽やかに融解させたフロア構成は、商業デザインのひとつの到達点と言っていい。