千葉真一、本名前田禎穂(さだほ)。彼のキャリアは、挫折から始まった。日本体育大学でオリンピックを目指し、器械体操に没頭していた若き日の千葉を襲ったのは、跳馬の練習中に負った腰の致命的な怪我だった。医師から運動を禁じられ、夢を絶たれた青年は、生計を立てるために東映のニューフェイスオーディションに応募する。これが、世界の映画史を塗り替える第一歩となった。
当時の日本映画界は、時代劇の立ち回りや、任侠映画の様式美が主流だった。そこに現れた千葉は、体操仕込みの跳躍力と、極真空手で鍛え上げた本物の拳を引っ提げて殴り込んだ。カメラの前でバック転を決め、スタントなしでビルから飛び降りる。その姿は、当時の観客にとって新鮮というレベルを超え、一種の衝撃波だった。