野球界における敬遠の歴史において、最大のゲームチェンジャーとなったのが「申告敬遠」の導入です。従来の敬遠では、捕手が立ち上がり、投手が外角へ大きく外れるボールを実際に4球投げ込む必要がありました。しかし、これが試合時間の短縮(ペース・オブ・プレイの改善)を阻害しているとの議論が世界的に加速しました。
申告敬遠の導入経緯を振り返ると、まず2017年に米メジャーリーグ(MLB)が試合スピードアップを目的に正式導入。日本プロ野球(NPB)も翌2018年シーズンから公認野球規則を改定して追随しました。さらに、投手の肩肘の酷使防止と球数制限が議論されていた高校野球の敬遠ルールにおいても、日本高等学校野球連盟が2026年の春季大会から導入を決定しました。
申告敬遠のルールでは、守備側の監督が球審に対して敬遠の意思をジェスチャーや口頭で伝えるだけで、投手が1球も投げることなく打者に一塁が与えられます。これにより、かつて稀に見られた「敬遠球が暴投になって走者が生還する」「コースが甘くなった敬遠球を強引に打たれてサヨナラ負けを喫する」といったアクシデントのドラマは姿を消すことになりました。