社会に決定的な衝撃を与えたのが、2015年に太田出版から突如として刊行された手記『絶歌』である。遺族への事前の連絡や承諾を完全に無視した形での出版は、被害者感情を踏みにじる暴挙として激しい社会的批判を浴びた。
このノンフィクション作品の体裁を取った手記において、元少年Aは犯行時の生々しい感覚や内面の葛藤を美文化された文体で書き綴っている。文章の巧みさを誇示するかのような叙述は、かつての猟奇的な犯行を自らのアイデンティティとして再消費しているに等しい。出版元の倫理観や商業主義に対しても厳しい視線が向けられ、全国の書店で配架の見合わせや撤去が相次ぐ事態となった。
文章を書くことによって自らの存在を誇示し、他者の関心を惹きつけようとする加害者の行動原理は、14歳当時の手紙から一貫して変わっていない。『絶歌』の出版は、反省の証ではなく、活字を用いた「第2の凶行」であったと多くの識者が指摘している。