『絶歌』の出版が明らかになった直後、被害者の父である土師守氏は記者会見などを通じて「出版の中止と書籍の即時回収」を強く求めました。事前の通知や謝罪すらなく、突如として商業流通に乗せられたことに対し、「子どもの命が再び金儲けの道具にされた」という痛切な怒りと抗議の声明が発表されたのです。
出版界や書店現場でも激しい葛藤が生じました。大手書店チェーンの一部が店頭での平積みや販売を自粛する「配架見合わせ」の動きを見せる一方、表現の自由や知る権利を盾に販売を継続する店舗もあり、業界を二分する議論となりました。
大手書評サイトやSNS、ネット掲示板における読者レビューも完全に二極化しました。ネット上では「遺族を無視した自己満足の極み」「文章が美文化されており反省の色が薄い」といった厳しい批判が殺到。一方で、「犯罪に至る心理メカニズムの解明資料として価値がある」「更生のリアルな難しさが伝わる」とする分析的な意見も見受けられました。しかし、全体として「商業出版という形式で世に出すべきではなかった」という倫理的批判が圧倒的多数を占めたのが実態です。