旧海軍司令部壕の弾痕と決死の電報|沖縄戦の悲痛な真相と見学ガイド

旧海軍司令部壕の弾痕と決死の電報|沖縄戦の悲痛な真相と見学ガイド

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那覇市街地を一望する海軍壕公園の一角、資料館の先にある入場口から急勾配の階段を一段ずつ降りていくと、外気温の高さが嘘のように空気が張り詰めていきます。地下約20メートル、全105段の階段を下りきった先に現れるのは、クルクチ(ツルハシ)の削り跡が天井や壁一面に刻まれた総延長約450メートルの巨大な手掘り坑道です。

壕内を順路に沿って進むと、参観者の足を最も強く止める場所に行き当たります。それが「幕僚室」です。広さわずか数畳ほどの空間。その湿った漆喰の壁面には、無数の窪みと黒ずんだ痕跡が残されています。1945年6月13日未明、米軍の包囲によって万策尽きた大田実司令官麾下の幹部将兵が、手榴弾の安全ピンを抜き自決を遂げた際の破片痕です。爆風で飛び散った破片が硬い壁をえぐり取った跡を目の当たりにすると、凄惨な当時の情景が静まり返った壕内に立ち現れるような衝撃を受けます。

司令官室の壁面には、大田少将が自決直前に揮毫したと伝わる「大君の御旗のもとに死してこそ 人と生まれし甲斐ぞありけり」という辞世の句が鮮明に残されています。兵士たちが立ったまま睡眠を取ったとされる窪み(兵員室)や、負傷兵で埋め尽くされた治療室など、換気もままならず異臭と熱気が充満していた地下の極限状態が、作為のない遺構として保存されています。

阿部 裕樹
著者

阿部 裕樹

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。