事故の真相を決定づける極めて重要な物証となったのが、遺体発見現場の近くに落ちていた臼井さんのリュックサックから回収されたデジタルカメラでした。警察がカメラ内の画像データを解析したところ、行方不明となった当日である9月11日の昼過ぎに撮影された画像が約30枚保存されていました。
その最後に残されていた1枚の写真は、艫岩の展望スペースから身を乗り出し、崖の真下を垂直に見下ろすような構図で撮影された景色でした。撮影時刻は11日午後1時20分頃と記録されており、シャッターを切った直後に足を滑らせたか、あるいは撮影に夢中になって身体のバランスを崩してしまった瞬間が鮮明に浮き彫りとなったのです。
このデータによって、臼井さんが登山を楽しみながら自らの手で風景を写真に収めていたこと、そして最後の瞬間まで意図せぬ突発的な事故であったことが客観的に証明されました。