荒木飛呂彦氏が手掛けるロゴデザインの経緯には、同氏が傾倒する西洋美術、洋楽ロック、そしてモードファッションからの多大な影響が息づいています。連載初期のタイトルロゴに見られる鋭角的な飾りや傾斜は、1970〜80年代のホラー映画のポスターや、ハードロック・プログレッシブロックのレコードジャケットが元ネタの理由として知られています。
さらに荒木氏は、イタリアの彫刻家ベルニーニのバロック美術や、クリムトなどの世紀末ウィーン分離派、20世紀初頭のアール・デコ様式を自身のグラフィックに巧みに融合させてきました。文字の先端(セリフ)の鋭さや文字の重心の取り方一つをとっても、一般的な漫画タイトルの枠を超えたハイファッション誌の表紙(『Vogue』や『Harper's Bazaar』など)に通じる洗練された美意識が反映されています。