出版社の意図としては「単なる校正ミス」に過ぎなかったこのセリフが、なぜ四半世紀以上を経た現在も熱狂的に支持されているのでしょうか。その発端は、1990年代後半から2000年代初頭にかけてのテキストサイトブームや匿名掲示板「2ちゃんねる(現5ちゃんねる)」におけるコミュニティの形成にあります。
当時、ネットユーザーの間で『ジョジョの奇妙な冒険』に登場する独特の擬音(「ゴゴゴ」「メメタァ」)や、誇り高きキャラクターたちの名言を引用してレスポンスを返す文化が爆発的に流行しました。その中で、「何をするだァーッ」は理不尽な事態に遭遇した際の最上級のツッコミ用スラングとして重宝されたのです。
現代のソーシャルメディア(Xなど)や動画共有プラットフォームにおいても、ゲーム実況で理不尽な攻撃を受けた配信者が「何をするだァーッ!」と叫んだり、理不尽なニュースに対するリアクションとして投稿されたりと、その汎用性の高さは衰える兆しを見せません。ミスが淘汰されるのではなく、コミュニティの手によって「愛すべき文化的アイコン」へと昇華された稀有な事例です。