大相撲の懸賞金を巡るお金の流れには、税務上の巧みな工夫が隠されている。力士にとって懸賞金は、給与所得とは別に処理される事業所得あるいは雑所得に該当する。獲得本数が増えれば増えるほど累進課税によって税率が跳ね上がるため、日本相撲協会が事前に1本あたり3万円を預かる制度は、力士が税金未納や資金難に陥るリスクを防ぐ強力な安全装置として機能している。
一方、出資する企業側にとっても懸賞金の提供は大きなメリットがある。税務上、これらの費用は全額「広告宣伝費」として損金処理することが可能だ。決算期末における節税対策の一環として、企業イメージの向上と税負担の軽減を同時に狙える有能な選択肢となっている。
スポーツ興行における単なる寄付や協賛金とは異なり、確実な露出機会が担保されているからこそ、企業は合理的な経営判断として土俵に懸賞旗を掲げ続けることができるのだ。