語り下ろしの文体で書かれた『昭和史 1926-1945』は、学術書の壁を打ち破り、あらゆる世代に読まれる異例のロングセラーとなった。難しい専門用語を排し、まるで隣で語りかけるような語り口でありながら、論理の骨格は寸分の隙もない。
日本ペンクラブの活動などを通じても一貫して言論の自由と平和を訴え続けた彼は、「国民一人ひとりが歴史を知らなければ、再び同じ罠に落ちる」と繰り返した。満州事変から太平洋戦争の終結に至る暗黒の20年間を一本の線で結び、政治と軍事の力関係の崩壊プロセスを平易に説いた同書は、国家運営における文民統制の難しさを浮き彫りにしている。