この歴史的な大法廷の戦いにおいて、弁護団のキーマンとして大きな存在感を放ったのが安田好弘弁護士である。死刑廃止運動の論客としても知られる彼は、どんな凶悪事件であっても被告人の人権を守り抜く姿勢を崩さない。彼の過激とも評価される弁護スタイルは、ドキュメンタリー映画『死刑弁護人』などでも描写され、大きな波紋を呼んだ。
国家権力が一人の人間の命を奪う死刑制度に対し、弁護人が最後まで妥協せず抗うことこそが弁護権の本質であるという信念。それが一般感情との凄まじい乖離を生んだとしても、彼は退かなかった。司法の場で被告人に最大限の防御権を与えるという原則は、法治国家の根幹を支える柱でもあるからだ。