権力の中枢で実権を握る金与正党副部長との関係性も、きわめて複雑な影を落としている。朝鮮労働党の対外発信や対南工作を力強く牽引してきた彼女は、一時期、金正恩氏の有事に備える実質的なナンバーツーと見なされていた。しかし、甥や姪にあたる若き世代の前面展開により、党内部のパワーバランスには静かな変化が生まれつつある。
近年の公式行事において、金与正氏がひな壇の端や後方に控え、金ジュエ氏を立てる挙動が目立つようになった。これが演出された恭順の姿勢なのか、あるいは将来の後見人としての役割を受け入れた結果なのか。党内の古参幹部たちの間にも、次世代への権力移行を巡る緊張感が漂い始めており、内部の派閥動向や権力構造の組み換えから目が離せない。