猿回しにおける最大の懸念点の一つが「芸ができなくなったサルの行く末」です。ニホンザルは一般的に10〜15歳前後で舞台の第一線を退き、シニア期を迎えます。
法改正に伴い、現在では事業者に「終生飼養の責任」が明確に義務付けられています。大手プロダクションや保存会では、引退したサルが仲間とともに穏やかに過ごせる「老猿専用のサンクチュアリ施設」を運営しています。冷暖房完備の療養スペースや、筋力・消化能力の衰えに合わせた流動食・特別食の提供など、手厚い介護体制が敷かれています。
野生のニホンザルが天敵や飢餓、過酷な気候によって15〜20年程度で命を落とすのに対し、飼育下の芸猿が30歳前後まで生きる事例が珍しくない事実は、衛生的な環境と引退後の医療・介護ケアが一定水準以上に機能している証左といえます。