完璧な人間などいない。本作がこれほど愛されるのは、泥をすすりながら足掻く凡人の姿を肯定しているからだ。我妻善逸の「一つのことしかできないならそれを極め抜け」という育手の言葉は、器用貧乏になりがちな現代のビジネスパーソンにこそ突き刺さる。何でもこなせるマルチタスクがもてはやされる時代に、この愚直なまでの特化は救いだ。一方で、炭治郎の「頑張れ炭治郎頑張れ」という自己暗示。彼は天才ではない。だからこそ、自分で自分を鼓舞するしかない。その生々しい独り言に、私たちは自分の泥臭い日常を重ね合わせてしまう。
劇場版三部作の衝撃から紐解く――なぜ「鬼滅」の言葉は、時代を超えて私たちの心を揺さぶり続けるのか?
•
•
1分で読める
詳細を見る