一般によく混同される他の海生爬虫類との違いを整理すると、テムノドントサウルスの際立った個性がより鮮明になります。
まず、同時代に生息していた代表的な魚竜「イクチオサウルス」との最大の違いは体格と食性にあります。イクチオサウルスは体長2〜3メートル程度と比較的小型で、主に小さな魚類や頭足類を捕食する穏やかな生態でした。これに対し、テムノドントサウルスはその数倍の巨体を持ち、イクチオサウルス自身をも捕食対象にする「キラー魚竜」としてのポジションを築いていました。
一方、映画などで有名な「モササウルス」とは生息していた時代と体の基本構造が根本から異なります。モササウルスは約7000万年前の白亜紀後期に出現した有鱗類(トカゲやヘビに近いグループ)であり、体を左右にくねらせて泳ぐ遊泳スタイルでした。それに対してテムノドントサウルスは1億年以上前のジュラ紀前期に栄えた魚竜であり、マグロやイルカのように発達した尾ビレを使って効率的に高速巡航していました。