阿部慎之助監督の送りバント采配に対して批判的な声が上がる最大の理由は、近年日本でも定着したセイバーメトリクスの理論にあります。統計分析において、送りバントは「アウトカウントを1つ相手に献上して走者を1つ進める」行為であり、基本的にはイニング全体の得点期待値(その回に入る平均得点)を大きく下げる戦術と定義されているためです。
具体的には、「無死一塁」からバントを決めて「1死二塁」にした場合、ビッグイニング(3点以上奪う展開)の発生確率は目に見えて減少します。MLBや近年のNPBのデータ派アナリストの間では、「ノーアウトの走者をみすみすアウトにして得点機会を削る行為は非合理的」という見解が主流です。ネット上を中心に「アウトの重みを軽視している」「強打者を並べながらなぜ自らブレーキをかけるのか」といった批判が噴出するのは、こうした客観的指標の裏付けがあるからです。