19世紀末のフランスの小説家ガストン・ルルーが遺した原作小説『オペラ座の怪人』において、パリ・オペラ座で実際に起きたシャンデリア事故は、怪人ファントムによる暗躍の最たる象徴だった。この史実交じりの怪奇譚を、現代のメガ・ミュージカルへと昇華させたのが作曲家アンドリュー・ロイド=ウェバーだ。
彼が紡ぎ出す重厚かつ美しく哀しいメロディと融合することで、ただの舞台事故の描写は、観客の心臓を直接揺さぶる「芸術的衝動」へと変貌を遂げた。巨大な装飾が客席上空へと引き揚げられ、そして一気に崩落する。その劇的なドラマ性こそが、本作を世界的な不滅の金字塔たらしめている理由だ。