連載中から完結後にかけて、ネット上の考察掲示板やSNSでは「時透無一郎 生存説」が幾度となく囁かれました。なぜこれほど決定的な致命傷を負いながら、ファンの間で生存を信じる声が途絶えなかったのでしょうか。
最大の要因は、無一郎が「日の呼吸の血を引く継国家の末裔」という特別な血統を持っていた点にあります。竈門炭治郎のように驚異的な回復力を見せるのではないか、あるいは「上弦の壱の血を浴びて鬼化することで生き延びるのではないか」という考察が、当時の5ちゃんねるや知恵袋などで熱心に議論されました。しかし、作中で彼が鬼化を受け入れる余地は一片もなく、胴体切断による大量失血という医学的・生理学的限界を超越することは叶いませんでした。
しかし、物語は絶望のままでは終わりません。最終巻である第23巻・第205話「幾星霜を煌めく命」において、現代へ転生した彼らの姿が明確に描写されています。東京の街並みの中、ベビーカーに乗せられた双子の赤ちゃんとして、有一郎と無一郎が平和な時代に寄り添って眠っているカットが存在します。過酷な運命に翻弄された兄弟が、戦いのない世界で再び結ばれたこのシーンこそが、公式が用意した真の魂の救済であったと言えます。