開高健は道具へのこだわりが極めて強い作家でした。『オーパ!』のアマゾン釣行に持ち込まれたルアーやタックルの数々は、当時の最先端でありながら、道具としての機能美を極めた名品ばかりです。
・リール:スウェーデン・ABU(アブ)社の名機「アンバサダー 5000C / 6500C」。堅牢無比な作りで怪魚の強烈な突進を受け止めました。
・ルアー:フィンランドの老舗「ラパラ(マグナムシリーズ)」や、アメリカの「ヘドン」などのプラグ。歯形でボロボロになりながらも魚を誘い続けました。
・ロッド:強靭なグラスファイバーや初期のカーボンロッド。破損の危険と隣り合わせの極限状態で酷使されました。
開高健にとって釣具は単なる道具ではなく、未知の世界と己をつなぐ「触手」であり「相棒」でした。傷だらけになったリールに愛着を注ぎ、ルアーの泳ぎに歓喜するその姿は、本物の道具だけが持つ色気とロマンを雄弁に物語っています。