「前例がないから不可」「役員へのメール送信時には、特定の絵文字を使ってはならない」「雨の日でもレインコート着用禁止」。SNSのタイムラインを開けば、耳を疑うような投稿が次々と流れてくる。どれも冗談のような話だ。だが、当事者にとっては笑い事ではない。
都内のIT企業に勤める30代男性社員は、呆れ顔でこう明かす。「入社して驚いたのは、紙の書類を提出する際、ハンコを左に少し傾けて押さなければならないというローカルマナーでした。『おじぎをしているように見せるため』という後付けの理由を聞かされた時は、開いた口が塞がりませんでしたね」。業務のデジタル化が進んだ2026年の現在においても、形を変えた不条理が亡霊のように漂っている。