90年代の日本のロックシーンが培ってきた多様性を、最新の感性で再構築するミクスチャー・ロックの試みは、近年の音楽産業における大きな転換点となった。『飛行艇』はその金字塔として、ロックバンドの持つ可能性を飛躍的に押し広げた。
デジタルストリーミングの普及により、楽曲の消費サイクルが著しく加速した現在においても、本作が長年にわたり聴かれ続けている事実は特筆に値する。SpotifyのデイリーチャートやApple Musicのロングヒットチャートに留まり続け、単なるトレンドを超えた「クラシック」としての地位を確立したのだ。CDセールの時代からサブスクリプション中心の時代へと変化を遂げた市場において、圧倒的な音像と歌詞の強度を持つ楽曲がいかに強い生命力を持つかを証明してみせた。