King Gnuの核を成すのは、プロデューサーであり楽曲の全権を握る常田大希と、その世界観を完璧に具現化する井口理という二人の稀有な関係性です。二人は長野県伊那市の同じ小中学校に通っていた幼馴染であり、常田が1学年上の先輩という間柄でした。少年時代には合唱コンクールで全国大会に出場した経験を共有しています。
高校時代は異なる道を歩んでいた二人が再び邂逅した場所こそが、東京藝術大学でした。常田は器楽科(チェロ専攻)へ、井口は声楽科へと進学。常田が立ち上げた前身プロジェクト「Srv.Vinci(サーバ・ヴィンチ)」の活動を本格化させる際、常田は「あいつの声には誰もが耳を傾ける大衆性と美しさがある」と確信し、井口をバンドへと引き入れました。
二人の関係は単なる「雇い主と歌い手」でも「ビジネスパートナー」でもありません。互いの特異性を知り尽くしているからこそ生まれる緊張感と深いリスペクトがあります。常田の紡ぎ出す不穏かつ前衛的なメロディを、井口の美声がポップスへと昇華させる。この絶妙なケミストリーこそが、King Gnuを日本の音楽シーンの頂点へと押し上げた原動力です。