胸を貫かれながらも、王騎は自力で馬を駆り、自軍の将兵が切り開いた包囲網を突破して無事に後方へと脱出します。そして死期を悟った王騎は、側近たちへ最後の命令を下しました。
長年、王騎の副官として影のように付き従ってきた騰(とう)に対して、王騎は次のように告げます。
「騰、あなたの力は私と遜色ありません。自信を持って軍を引き継ぎなさい」
常に飄々としていた騰はこの言葉を静かに受け止め、王騎軍の全権を継承。後に自らも新たな秦国六大将軍の一角へと成長していくことになります。
さらに王騎は周囲の兵たちを見渡し、自らの死に直面しながらも微笑みを浮かべて言い放ちました。
「これだから乱世は面白い」
死の瞬間まで恐れや未練を一切見せず、戦国の世に生きる歓びと誇りを胸に旅立ったこの一言は、読者の胸を強く打つ名言として今なお語り継がれています。