歴代デザイナーの交代劇には、クリエイター個人の人生の転機だけでなく、サンリオの企業戦略が色濃く反映されています。
初代・清水侑子氏の交代理由は寿退社というプライベートの節目による円満な引き継ぎでした。一方、2代目・米窪節子氏から3代目・山口裕子氏への移行は、キャラクターの急激な売上低下に伴う抜本的テコ入れが引き金となっています。サンリオは当時、社内公募によるコンペティションを実施。「ファンが望むキティへと成長させる」という明確なビジョンを提示した山口氏がデザイン室の主導権を握りました。
サンリオのキャラクターデザイナーという経歴は、玩具・雑貨業界の中でも極めて専門性が高い職種として知られます。同社では単一のイラストレーターの属人性に頼り切るのではなく、市場のトレンドやターゲット層の変化に応じてデザインチームを再編するスタジオ型・チーム制の制作体制を採用しています。山口氏のリーダーシップのもとで育成された若手クリエイターたちが、現代のデジタル環境やSNSカルチャーに即したキティを支える土台となっています。