「コーヒーを飲むとトイレが近くなり、飲んだ量以上の水分が排出されて脱水症状に陥る」という言説を耳にしたことがある人は多いでしょう。しかし、近年の科学的コンセンサスにおいて、この「コーヒー脱水説」は明確な誤解であることが証明されています。
この常識を塗り替える決定打となったのが、英バーミンガム大学のソフィー・キラー博士らが発表した画期的な比較研究です。研究チームは日常的にコーヒーを飲む成人男性を対象に、「毎日コーヒーを同量飲むグループ」と「水だけを同量飲むグループ」に分け、体内総水分量や尿量、血液中の水分保持マーカーを精密に測定しました。その結果、コーヒーを飲んだ場合と水を飲んだ場合とで、体内の水分保持状態に有意な差は一切認められなかったのです。
コーヒーに含まれる水分の割合は約99%に達します。一時的に尿意を催すことはあっても、摂取した水分量が体外へ排出される水分量を上回るため、結果として体内にしっかりと水分が保持されます。「コーヒーを飲むと水分が奪われる」という極端な懸念は、過去の短期的かつ過剰摂取実験から生まれた都市伝説に過ぎません。