米コミック界最高峰の栄誉であるアイズナー賞を4度受賞したという事実は、日本の漫画業界における一つの偉大なマイルストーンとなった。単なるエンターテインメントとしてのホラーコミックが、世界最高水準のグラフィック・ノベルとして正当に評価された証拠である。
巨大な未知の力や理不尽な宇宙の悪意を描くコズミックホラーの系譜において、伊藤の描くビジョンは今やH.P.ラヴクラフトの文学的系譜と並び称される。理解を超えた怪異に翻弄される名もなき人間たちの運命。その冷徹な観察眼こそが、言語の壁を越えて世界中の読者を震え上がらせる理由だ。