1971年に航空自衛隊が導入を開始したF-4EJは、アメリカ海軍・空軍の主力機だった名機F-4Eを日本向けにライセンス生産した機体です。導入当初は当時の国会論議や専守防衛方針への配慮から、爆撃計算機能や空中給油装置が意図的に外されており、純粋な迎撃戦闘機(インターセプター)として配備されました。しかし、1980年代に入るとソ連軍のMiG-25やSu-27といった第4世代戦闘機の台頭により、旧式化の波が急速に押し寄せます。
本来ならば全機を最新鋭のF-15Jに更新するのが理想でしたが、莫大な調達コストと防衛予算の枠、さらには次期支援戦闘機(後のF-2)の選定・開発スケジュールの遅延という現実が立ちはだかりました。そこで航空幕僚監部と防衛庁技術研究本部(当時)が下した決断こそが、既存の機体を抜本的に蘇らせるF-4EJ改プログラムです。
この改修が「魔改造」と称される最大の理由は、単なる部品交換ではなく、機体のアナログ心臓部を丸ごと第4世代機のデジタルシステムへと換装し、全く別次元の戦闘能力を与えた点にあります。初飛行からすでに四半世紀が経過していた頑強なエアフレーム(機体構造)を骨格として生かしつつ、電子戦能力、レーダー捜索能力、対艦攻撃能力を劇的に底上げしました。外見こそ往年のファントムの無骨さを残しながら、キャノピーの内側は最新鋭のデジタルコクピットへと様変わりしていたのです。