従来のスペシャルティコーヒーの世界では、シングルオリジンのコーヒー豆が絶対的な主役であり、ミルクはあくまで風味を和らげる補佐役に過ぎなかった。しかし、その主客関係を鮮やかにひっくり返した点にこそ、このブランドの真骨頂がある。北海道という恵まれた風土を背景に、選び抜かれた酪農家の牛乳を前面に押し出すスタイルは、世界中のバリスタたちに新鮮な衝撃を与えた。
美瑛町産のジャージー種ミルクは濃密なコクと芳醇な甘みが際立ち、函館産のホルスタインミルクはすっきりと澄んだ後味を残す。客はまず「今日飲むミルク」を選び、それに最も調和するエスプレッソブレンドをバリスタと対話しながら決定する。この体験型のオーダーシステムこそが、一杯のラテを単なる水分補給から、パーソナライズされた贅沢な儀式へと昇華させているのだ。