新緑が眩しい5月、京都の格式高い古刹で繰り広げられる天下の奇祭がある。上賀茂神社で執り行われる競馬会神事(くらべうましんじ)だ。平安時代の寛治7年(1093年)、堀河天皇の時代に宮中から移されたとされるこの神事は、天下泰平と五穀豊穣を祈願する神聖な儀礼として今なお受け継がれている。
芝生が敷き詰められた馬場を2頭の馬が疾走する様は、息をのむ美しさだ。勝敗を決めること以上に、神前に奉納する走りそのものに重みが置かれる。単なるスピードの比較ではなく、馬の息遣いや騎手の立ち振る舞いまで含めた美学が存在する点が、現代の競馬とは一線を画す特徴と言えるだろう。