小堀の表現欲は漫才の枠組みだけには収まらない。近年彼が力を注いでいるのが「落語」の世界だ。「ヘドロ落語」と銘打ち、古典落語を独自の視点で噛み砕き、自作の新作落語を披露する独演会は、回を重ねるごとに熱心なファンを増やしている。噺家としての語り口には哀愁と狂気が同居し、本職の落語家からも一目置かれるほどだ。
さらに、自らギターを手にして歌う音楽活動や、劇団の作・演出を手掛けるクリエイターとしての顔も持つ。子供向けの絵本を執筆したこともあるなど、そのアウトプットは驚くほど幅広い。
周囲から「音楽なんかやってないで漫才に集中しろ」とどれほど野次られようが、本人は意に介さない。自らの内側から湧き出るメロディや言葉を形にせずにはいられない。その節操のなさとバイタリティこそが、表現者・小堀裕之のエンジンなのだ。