インターネット上の掲示板や一部のSNSでは、その無機質な木造外観や格子戸の陰鬱なビジュアルから、「佐渡屈指の心霊スポットではないか」といった真偽不明の噂が囁かれることがあります。しかし、現地取材と公的記録を照らし合わせると、そうした噂は完全に根拠を欠いた誤解であることが分かります。
前述の通り、本施設は重大な凶悪犯を長期収容する刑務所本所ではなく、地方裁判所での公判を待つ未決拘禁者や短期滞在者を主対象とした拘置支所でした。過酷な拷問や処刑が行われた場所ではなく、法的手続きに則って平穏に管理・運営されていた近代公的施設です。
不気味に感じられる要因は、「極限まで無駄を削ぎ落とした昭和の機能主義建築」と「経年による木造の風合い」、そして「過度な観光地化がされていない静寂」にあります。オカルト的な好奇心ではなく、近代日本の司法・行刑制度を今に伝える極めて学術的価値の高いヘリテージ(文化遺産)として対峙することが、この遺構の真価を理解する鍵となります。