大野の制作スタイルにおける最大の特長は、驚くべき技法の幅広さと妥協なきディテールへの執着だ。油彩・アクリル画では、ナイフや刷毛を用いた重厚なマティエール(絵肌の質感)を作り出し、絵の具の飛沫が偶然生み出すドラマを巧みにコントロールする。
一方で、ペン一本で緻密に描き込まれる細密画の世界は圧巻の一言に尽きる。何万本もの極細の線を重ね合わせ、驚異的な集中力で画面を埋め尽くしていく作業は、もはや瞑想や修行の領域だ。具象と抽象、ポップアートの軽快さと重厚な古典的絵画の技術がひとつの画面で衝突し、調和する。このハイブリッドな表現力こそが大野芸術の真骨頂である。