高級生地の世界を語るうえで避けて通れないのが、イタリアとミリタリー・英連邦の伝統を背負う名門ミル(織元)およびマーチャント(生地商社)の存在だ。
イタリア最高峰のエルメネジルド・ゼニアは、徹底した自社一貫生産管理により、気品ある光沢と実用的な耐久性を高次元で両立させる。同じくイタリアの誇りであるロロ・ピアーナは、最高級のカシミヤやビキューナをはじめ、極上の原毛から生み出される柔らかく包み込むような質感が他の追随を許さない。一方で、ベルギー発祥の世界的マーチャントであるスキャバルは、英国流のハリとコシを持ちながら、極細番手や貴金属を織り込んだ独創的な生地で世界のセレブリティを魅了し続けている。
これらの名門が生み出す生地は、仕立て上がった瞬間の美しさだけでなく、5年、10年と着込むほどに増していく風合いの深さにおいて一線を画す。