体を温める食べ物の代表格である生姜だが、生のまま食べるか、加熱して食べるかによって、体への作用は真逆と言っていいほど大きく異なる。生姜に含まれる辛味成分「ジンゲロール」は、生の段階では末梢血管を拡張させて表面の熱を放出させるため、一時的な解熱作用や表面の発汗を促す。しかし、これを乾燥・加熱処理することによって構造変化を起こし、「ショウガオール」という強力な熱産生物質へと変貌を遂げる。
東洋医学に基づいた健康法を半世紀近く提唱し続ける医師の石原結實氏は、古くから生姜の加熱乾燥処理がもたらす身体への効能を強調してきた。現代の分析化学はその理論を裏付けている。80度前後の温度で時間をかけて加熱された生姜は、ショウガオールの含有量が飛躍的に増加し、胃腸の粘膜を直接刺激して腹部の血流を劇的に改善する。
同様の加熱効果は根菜類にも言える。ニンジンやカボチャ、ダイコンなどの根菜は、生野菜の状態で大量に摂取すると水分の多さや冷たさから胃腸を冷やすリスクがある。じっくりと煮込む、蒸す、またはスープに溶かし込むことで、細胞壁が破壊されて栄養素の吸収率が跳ね上がる。熱を効率よく体内に取り込み、毛細血管の隅々にまで血液を巡らせるためには、加熱調理が不可欠な絶対条件なのだ。