この事件が持つ真の恐ろしさは、ターゲットの規格外さにある。標的となったのは、三代目山口組組長である田岡一雄その人だった。絶対的な権力者として君臨していた裏社会のカリスマに対し、白昼堂々と銃口を向けたのが大日本正義団の幹部であった鳴海だったのだ。
当時、大阪を拠点とする松田組と山口組系組織との間では、激しい抗争が泥沼化していた。大日本正義団は松田組の傘下に位置する二次組織であり、団長が殺害されたことへの凄まじい報復心が、鳴海を過激な行動へと駆り立てたとされる。巨頭・田岡一雄への狙撃は、一組織の存亡を賭けた乾坤一擲の賭けであり、裏社会のパワーゲームにおける最大の暴挙であった。