Liminalの意味とは?不気味で懐かしい空間の正体と心理を解剖

Liminalの意味とは?不気味で懐かしい空間の正体と心理を解剖

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英語の形容詞「liminal(リミナル)」は、ラテン語で「敷居」や「境目」を意味する「limen(リメン)」に由来している。心理学の分野では古くから、感覚が生じる境目を示す「閾値(いきち・しきいち)」の関連用語として用いられてきた。意識と無意識、知覚できる領域とできない領域の境目を指す言葉だ。

この概念を一躍有名にしたのが、20世紀初頭のフランスの人類学者アルノルト・ファン・ヘネップと、それを発展させたヴィクター・ターナーである。ターナーは「リミナリティ(境界性 / Liminality)」という概念を提唱し、人が人生の節目(子供から大人への成長、結婚、儀礼など)において、以前の社会的属性を捨て去り、まだ次の状態に完全に到達していない「中間の過渡的状態(宙ぶらりんの状態)」を指す言葉として定義づけた。

つまり、「liminal」の本質は「AからBへと移動する途中の、どちらにも属さない境界」にある。日常的な場所でありながら、役割や文脈が剥ぎ取られた狭間の状態――これこそが、視覚文化として再解釈されたリミナルスペースの根底にある哲学的基盤なのだ。

橋本 菜々子
著者

橋本 菜々子

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。