2000年代半ばから2010年代初頭にかけて、テレビ朝日のゴールデンタイムを牽引した『痛快!ビッグダディ』。カメラは家族の食事風景から夫婦の衝突、子育ての苦悩まで余すところなく捉え、視聴率は常に高水準を記録した。だが、レンズの向こう側にいた当事者たちへの負荷は尋常ではなかった。
当時、一躍時の人となった林下佳美は、一般人でありながら芸能人以上の注目を集めることとなった。プライベートが筒抜けになる生活。街を歩けば指を差され、心無い言葉を浴びせられることも日常茶飯事だったという。制作側の演出意図と本人の素朴な日常とのギャップは次第に広がり、番組が完結した際、彼女が真っ先に望んだのは「普通の生活を取り戻すこと」だった。