和歌山毒物カレー事件の経緯を振り返ると、1998年7月25日、和歌山市園部地区の夏祭りで提供されたカレーライスに猛毒の亜ヒ酸が混入され、地域の住民ら67名が急性ヒ素中毒を発症、自治会長ら4名が尊い命を落としました。
警察捜査によって浮上したのが、過去に保険金詐欺を繰り返していた元保険外交員の林真須美死刑囚でした。2009年4月、最高裁判所は上告を棄却し、死刑判決が確定しました。しかし、判決から相当の年月が経過した現在も死刑執行は行われていません。これには日本の刑事司法制度における明確な実務上の理由が存在します。
日本の刑事訴訟法上、死刑確定者が再審請求を行っている期間中は、法務大臣が死刑執行命令への署名を極めて慎重に判断する慣例が定着しています。林真須美死刑囚には直接的な目撃証言や自白が一切なく、すべて状況証拠の積み重ねによって有罪が認定されたという特殊性があります。誤判のリスクを避ける司法判断の慎重さが、現在の未執行状態の直接的な要因となっています。