和歌山毒物カレー事件は、1998年7月25日、和歌山市園部の自治会で開催された夏祭りで起きました。提供されたカレーライスに猛毒の亜ヒ酸が混入され、自治会長や小学生を含む4人が死亡、63人が重軽傷を負うという大惨事となったのです。
警察は当初、祭りの関係者や周辺住民への聞き込みを進める中で、以前から多額の保険金詐欺に関わっていた疑いのあった林家に捜査の照準を合わせました。同年10月に林真須美死刑囚と夫の健治氏は保険金詐欺容疑で逮捕され、その後、カレー事件の殺人・殺人未遂容疑で再逮捕されるに至ります。
この事件最大の特徴は、被告が一貫して黙秘・否認を続け、「自白」や「直接的な犯行の目撃証言」が一切存在しなかった点にあります。検察側は、林真須美死刑囚がカレーの鍋を見張っていた時間帯があったことや、自宅周辺から発見されたヒ素と混入されたヒ素の成分的特徴が合致するという鑑定結果など、複数の状況証拠を積み上げました。裁判は長期化しましたが、2005年の大阪高裁での控訴棄却を経て、2009年4月に最高裁判所で上告が棄却され、死刑が正式に確定しました。