順風満帆に見えた日本でのキャリアを一度リセットするかのように、なぜ彼はロサンゼルスへの移住を決断したのでしょうか。一部のネットメディアでは「芸能界の人間関係トラブル」や「日本での仕事激減」といった根拠のない憶測が飛び交った時期もありましたが、取材記録や本人の肉声を辿ると、極めて論理的かつ情熱的な動機が浮かび上がってきます。
移住の根底にあったのは、2010年に採択された文化庁新進芸術家海外研修制度によるニューヨーク留学体験でした。約1年間にわたり本場の演劇スクールでメソッド演技や発声を学んだ鈴木一真は、異国の地で「役者としてゼロから自分を鍛え直す面白さ」に強く惹かれたと、当時のインタビューや手記で述懐しています。
帰国後も日本で多数のオファーをこなしていましたが、50代の足音が近づくにつれて「人生の後半戦で、もう一度世界基準の現場に身を投じたい」という表現者としての純粋な渇望が再燃。さらに、後述する長男の誕生を契機に、国際的な視野で子どもを育てたいという父親としてのヴィジョンが合致し、2019年前後に本格的なロサンゼルス移住へと踏み切りました。