駅名標を見るたびに「なぜ2つの地名が組み合わさっているのか」と疑問を抱く人も多いはずです。溜池山王駅という名前の由来には、地域の歴史と開業時の熱い議論が刻まれています。
「溜池」は、江戸時代に飲料水や防火用水を確保するために作られた人工の池(上水池)に由来します。江戸初期には風光明媚な名所として親しまれ、明治以降に埋め立てられて近代的な街並みへと姿を変えました。一方の「山王」は、江戸の総鎮守として名高い日枝神社の別称「山王権現(山王さん)」に根ざしています。
1997年(平成9年)に南北線と銀座線の新駅として開業する際、駅名決定を巡って港区側の「溜池」を推す声と、千代田区側の「山王」を推す声が激しく対立しました。双方が歴史と伝統を誇る由緒ある地名であったことから、最終的に両者の名称を対等に連結させた「溜池山王」という複合駅名が誕生したという経緯があります。