六代目三遊亭円楽を襲った病魔との戦いは、晩年の約4年間にわたる過酷なものでした。所属事務所や報道各社の公表記録によると、闘病の始まりは2018年秋の初期肺がん発見に遡ります。早期の手術を経てわずか数週間で高座へ復帰したものの、翌2019年夏には脳腫瘍が判明。さらに2026年秋には肺がんの再発が確認され、抗がん剤治療や放射線治療を受けながら舞台に立ち続ける日々が続きました。
最大の試練となったのが2026年1月下旬の脳梗塞発症でした。救急搬送されて一時は命も危ぶまれ、重い言語障害や半身麻痺のリスクが懸念される中、関係者を驚かせたのは本人の凄まじい復帰への気迫でした。過酷なリハビリテーションを乗り越え、同年8月11日、東京・国立演芸場で行われた『八月特別興行』で奇跡の高座復帰を果たします。
車椅子に乗って高座に上がった六代目が披露した演目は、骨董の真贋と人間の欲を描いた古典落語「猫の皿」でした。自由が利かない身体で汗を流しながら語り終えた直後、客席に向かって「みっともなくてもいいから、死ぬまで落語をやりたい」と涙ぐみながら吐露した場面は、演芸場を埋め尽くした観客の胸を激しく打ちました。しかし、これが生涯最後の高座となりました。その後、軽快して退院した直後に肺炎を発症して再入院となり、同年2026年9月30日、肺がんのため72歳で逝去。病魔に蝕まれながらも最後まで噺家としての誇りを失わなかった生き様は、今なお語り継がれています。