志村さんは決して女性嫌いではなかった。むしろ、常に美女に囲まれ、数々の浮名を流してきた。それにもかかわらず、なぜ結婚という形を選ばなかったのか。
かつて結婚を真剣に考え、相手の親への挨拶まで済ませていた女性がいたとされる。しかし、芸としての笑いを突き詰める志村さんの生活リズムや、芸人としての業(ごう)を理解し合えず、破局を迎えた。志村さんは「家の中に他人がいると落ち着かない」と漏らすこともあったという。
「志村けん」という稀代のキャラクターを維持するためには、家庭という安息の地は不要だったのかもしれない。あるいは、若き日に失った「最初の家族」への後悔が、彼を結婚から遠ざけていたのだろうか。彼の孤独な私生活は、すべて笑いへのストイックな姿勢の裏返しだった。