西湖では長年、漁業者たちの間でも「黒いヒメマス」「クロマス」と呼ばれ、単なるヒメマスの変異体として処理されていました。両者を明確に区別し、別種として学術的に証明したのは中坊教授らによる詳細な比較解剖学と遺伝子解析です。
クニマスとヒメマスを見分ける主なポイントは以下の通りです。
・体色と婚姻色:ヒメマスは通常銀白色で産卵期に鮮やかな赤色を帯びるのに対し、クニマスは通年で黒褐色から黒ずんだ色合いを保つ。
・鰓耙(さいは)の数:プランクトンを濾過する鰓の突起数が、ヒメマス(35〜45本程度)に比べてクニマスは37〜53本と密集している。
・幽門垂(ゆうもんすい)の数:消化器官の一部である幽門垂の数がヒメマスよりも明らかに少なく、形態学的な決定打となった。
・産卵の時期と水深:ヒメマスが秋(10〜11月)に湖岸の浅瀬で産卵するのに対し、クニマスは冬から早春(12〜3月)にかけて水深30〜40メートルの深底で産卵する。
中坊教授の研究グループはこれらの証拠をまとめ、英国の国際学術誌などに査読付き論文として発表。世界に向けて「クニマスの再発見と西湖での生存」が正式に認められました。