あの圧倒的な臨場感はいかにして生まれたのか。作品のチーフ演出を務めた大友啓史は、従来の時代劇にありがちな美しい殺陣や型通りの所作を意識的に排除した。カメラを3台同時に回し、長回しのノーカット撮影を多用することで、俳優たちのリアルな息遣いや予想のつかない感情の揺れをそのままフィルムに収めようとしたのだ。
主演を務めた福山雅治は、後にこの過酷な撮影現場について「演じているという感覚を超え、本当にその場で命を削っているような感覚だった」と語っている。近江屋のシーンでは、血の匂いが漂いそうなほどの緊張感がスタジオを包み、カットがかかった後も福山はしばらく動くことができなかったという。役者とスタッフが極限状態で作り上げた熱量が、あの伝説のラストへと結実したのだった。